独り占めしても、いいですか?

「君が雛咲だよね?」



「えっ、えっと、はい…」



先生に話しかけられて、凛の後ろからひょこっと出てくる。



「うん、じゃあ、あそこ。

あの空いてる席に座っといてよ」



先生の指差す席には、机に荷物が乗っていた。



朝確認した通りの私の席。



でも、席に座ってって…



「あ、あの、それだけ…ですか?」



「ん?何が?」



「あの、遅刻…とか…」



「ああ、そっか。

でもまあ提出物はちゃんと出してたし…

亀ほど遅くはないから別にいいよ」



「あ、ありがとう…ございます…?」



この先生、ホントに変わってるなぁ…



っていうか、私提出物なんて出してない…よね?



いつの間に…



あっ、凛だ…!



凛が私に校内探検先行っててって言ったのは、私の提出物まで出してくれてたからだ…!



隣にいる凛に小声で「ありがとう」って言うと、「なんのことだ?」って言ってしらばっくれていた。



わかってるはずなのに…



変なところで照れ屋なんだから。



そんなことを考えながら、席に着くため一歩踏み出した瞬間…