「日和」



「ん?……って、へっ⁉︎」



微笑ましい光景を見て癒されていた私の不意をついたように、凛が私の腰に手を回した。



そのままふわっと体が浮き上がるのを察して、とっさに腕を凛の首に回す。



「きゃっ」



体が宙に浮いて、その場でクルッと1回転。



ドレスの裾がふわっと揺れた。



いつもは見上げてる凛の顔が今は下にある。



いつもと違う角度から、凛の楽しそうな顔を見ると、なんだか普段と違う表情を見せられたみたいで心臓が揺れた。



ゆっくりと地面に足をつき、いつもの角度から凛を見つめる。



「キャーーー!」



凛のパフォーマンスに観客が湧いた。



私は心臓がドキドキして鳴り止まない。



「り、凛っ、そういうことするなら前もって…」



「ん?

だって言わねー方が日和もドキッとすんだろ?」



それが困るの!と叫びたいのを我慢して



「びっくりしちゃうもん」



と返し、またランウェイを歩き出した。