独り占めしても、いいですか?

「凛っ、ごめんね、行こう…!」



力の抜けていた手をギュッと握りなおし、一歩踏み出す。



ステージと観客席をつなぐ階段に足を踏み入れようとした時…



「わりっ、やっぱその背中隠させろ」



えっ⁉︎



と思ったのも一瞬。



三つ編みを縛っているリボンに手をかけたかと思うと…



シュルッ



リボンを解いてしまった。



もともと緩い編み目だったこともあって、あっという間に解けていく。



トドメを刺すように凛が私の髪をバサッと背中の方に払うと、長い髪はふわっと風になびいた。



髪に飾られていた小さな花や葉っぱがヒラヒラと目の前を舞う。



私自身は見えてないけど、歓声の大きさから、すごく綺麗なんだろうなぁ…と思った。



「露出度高い服着てーなら俺の前だけにしろ」



ドキッ



ポッと顔が赤くなるのを感じて咄嗟に下を向いた。



そういうセリフ、なんで簡単に言っちゃうの…⁉︎



っていうか、私も私だよっ!



いつもなら『そんなに露出してないと思うけど…』って返せるところなのに…!



対応が不自然すぎる…



ダメだ、私結構重症かもしれない。