独り占めしても、いいですか?

「ひよ姫頑張れー!」



うそっ…



今、誰か知らない人の声が…



「ファイトです!ひよ姫様!」



「頑張ってー!」



さっきの子を合図にしたみたいに、次第に応援の声が増え始めた。



5秒もしない間に応援の声は会場中に広がる。



みんなの優しさで、温もりで…



もう、涙が溢れそう。



「よかったな、応援してくれるやつがこんなにいて」



「うんっ…!」



私の目から涙が一滴溢れた。



それを真っ白なグローブをはめた手でそっと拭う。



「「「日和(ひよちゃん)!」」」



みんなの声の中で、透と秀ちゃんと優ちゃんの声が聞こえた気がした。



ステージ下の司会者マイクがあるところに目を向けると、そこにはやっぱり3人がいて…



トントンッと2回胸を叩いた。



凛もそれを見ていたみたいで、自分の胸をトントンと叩く。



私もクスッと笑って、同じように叩いた。



もう大丈夫…!