独り占めしても、いいですか?

「あと、今回助っ人をしてくれた透…えっと、天沢君にも感謝していますっ」



そう言って、マイクを握ったままピアノの方を振り返た。



「上手くいったのは透のおかげだよ…!

助けてくれて、ありがとうっ!」



透はスッと視線を逸らして、少し頬を赤く染める。



いつもは『ありがとう』って言ってもそんな顔しないのに…



いつもの『ありがとう』より、何倍も『ありがとう』って思ってるのが伝わったのかな…?



とりあえず、レアな透の照れ顔はすごくかわいかった。



私の挨拶が終わると、もう一度みんなが拍手を送ってくれる。



それを受けて、私ももう一度頭を下げた。



ここに立つことが怖くなくなって…



自分に自信と余裕ができたら…



今度は、ちゃんと、みんなのために…歌いたいな。