独り占めしても、いいですか?

「日和、挨拶しなくていいのか?」



「あっ、うん、そうだよね」



私はマイクをステージの中央まで運んで、高さを合わせてからその前に立った。



私が準備をすると、体育館内は自然と静かになっていく。



特に言う言葉なんて考えてなかった…



と、思いつつも、第一声だけは決まってる。



「ありがとうございました…!」



ぺこりと頭を下げた。



「すごく、楽しかったですっ!」



歌うのは楽しい。



けど、今日ほど楽しいと思ったのは初めて。



歌い終わってから、こんなに清々しい気持ちになったのも初めて。



みんなの笑顔を見て、私まで嬉しくなっちゃった。