独り占めしても、いいですか?

『行こう 歌おう

立ち止まってなんかいられない

進まないなんてもったいないだろ?


前は走るな 背中も押すな

隣を歩く それだけでいい

俺はお前の、お前は俺の、かけがえのないOnly One』



サビのハモりが綺麗に重なった。



上手くいって、私達は顔を見合わせて少し微笑む。



楽しい…



こんな風に、ちゃんと、鼻歌とかじゃなくて、ちゃんと歌うのって楽しい…!



私と透で世界を作り変えているみたい…!



歌う度、声を出す度、この時間が永遠に続けばいい…なんて思う。



けどそういうわけにはいかなくて…



ポロン…



最後の音が鳴った。



終わった…



「キャーーー!」



ライブの時ような歓声が上がった。



一瞬体をビクつかせたけど、喜ぶみんなの顔を見て、私まで笑顔になった。



あっ…



私、また聞いてるみんなのことなんて考えずに、自分の世界の中だけで歌ってた…



まぁ…しょうがないよね…!



声が出なかったり急なピアノの演奏だったり…予想もつかない事態がいっぱいだったもん。



それに私、まだ少し…みんなの視線が怖いって思っちゃってたから…



変わるのには時間がかかるんだから、少しずつでいいよね。