独り占めしても、いいですか?

「透、一緒に弾こっ!」



そう言うと、透が半分椅子を空けてくれて、私はスッと腰を下ろした。



楽譜無し、しかも始めて2人で弾く曲。



私に至っては耳で聞いた音を頼りに弾くことになる。



1オクターブ上げて歌うことよりも断然ハードルは高い。



だけど、なぜかできる気がした。



「もー、2人とも、マイク用意しなくちゃ!

これ、歌のステージなんだよ?

あと、一応ピアノの許可、今急いで取ってきたんから、感謝してね!」



そう言いながら優ちゃんがマイクとスタンドを2つ運んできてくれる。



「あっ、ごめんね…!

あと、ありがとう…!」



ピアノの使用許可なんて、全然考えてなかった…



優ちゃんからマイクを受け取って、自分の口元に合わせてセット。



透もセットし終わったところで、すうっと息を吸った。



よし、大丈夫。