独り占めしても、いいですか?

「えっ!ひよちゃん⁉︎大丈夫⁉︎

ごめんね、僕全然気づかなくて…!」



ギュッと閉じた目をゆっくり開けると、優ちゃんがいた。



私にぶつかったのは優ちゃんみたい。



痛いけど…『痛い』なんて言ったら、優ちゃんが責任感じちゃう。



「うんっ、大丈夫だよっ!

ありがと、透」



そう言って透から体を離し、なんとか自力で支える。



「ごめんね、日和。

俺が前を歩いてたのに気づかなくて…」



「ううん、秀ちゃんは悪くないよ。

私は大丈夫だからっ!

それより、なんで優ちゃんは走ってたの?」



話をそらすように優ちゃんへ目を向ける。



「え⁉︎あ!そうだ!大変なんだよ!

僕、課題、まだ終わってなかったんだ!」



「えぇ…⁉︎

それじゃあ、こんな所にいないで早く教室に戻りなよ」



「僕1人じゃ終わらないよ〜!

だから秀ちゃん、手伝って?」



優ちゃんが両手を合わせてお願いする。



優ちゃん、秀ちゃんにお願いするために走ってきたんだ…



「もう…仕方ないなぁ。

じゃあ透、日和をお願いしてもいい?」



「ああ」



「やったー!

秀ちゃんありがとー!」



そう言って、秀ちゃんと優ちゃんは3組へ走っていった。



秀ちゃんも大変だなぁ…



でも実際、秀ちゃん教えるの上手いし、1番頭いいのも秀ちゃんだもんね。



……あれ?



1番は凛だっけ…?



まぁいっか。