独り占めしても、いいですか?

「それで、一ノ瀬君、シンデレラをやりたいというのは…?」



浦さんが不安そうな顔を向けてきた。



そりゃそうだよな。



失敗した場合、少なからずこの人も責任を問われる。



「はい、絢香さんの代わりに出たシンデレラは体調のこともありますし、無理はさせられません。

俺の出番はさっきのシーンで終わりました。

俺なら、シンデレラの代役ができます。

浦さん、俺に任せてくれませんか⁉︎」



腰から90度に頭を下げた。



いくら他の人がOKを出しても、責任者であるこの人が許可を出さない限り、俺はステージには立てない。



「しかし、今から衣装・メイク・ヘアスタイルを整え、動きを確認し、全員へ連絡するには時間がかかりすぎる。

元々全てがアドリブなんだから、シンデレラが出ない話に変更するか、シルエットで誤魔化す方向で考えた方が…」



「それじゃあファンは納得しません。

動きは昨日のうちに確認してあります。

今すぐ動けば準備も間に合う。

連絡は俺が準備している間にお願いできませんか?」



・・・・・。



一時の沈黙。



「はぁ…わかりましたよ」



盛大にため息をついた後で、仕方ない、といった風に許可してくれた。



「ありがとうございます!」



自分でも目が輝くのがわかる。



正直、もう少し粘る必要があると想像していた。



まずは1人目。