独り占めしても、いいですか?

『一ノ瀬君、そろそろスタンバイお願いします』



マイクから指示が出た。



日和を置いていくのは不安だけど、今は行くしかねーか。



「絢香さん、すみません、呼ばれたので失礼します。

日和を着替えさせて、側にいてやってくれませんか?

Sunlightのメンバーがちょこちょこ来ると思うんですけど、好きなようにさせてやってください。

多分、日和も少しずつ回復していくと思います」



「…わかった」



多分最初に来るのは秀也だな。



あいつは出番がもう少し後だ。



今は衣装チェンジとメイクをしてるだろうから、それが終わって日和のことを聞いたらすっ飛んで来るだろ。



日和が目を覚まして元気を回復していってくれれば、きっといつも通りに戻るはず。



「日和のこと、お願いします」



俺は45度頭を下げてドアの方へ向かう。



部屋を出て行く前に振り返って



「絢香さんも、こまめに休んで下さいね」



とだけ言ってステージ裏へ向かった。



シンデレラが出る場面まではまだ時間はある。



なんとか突破口を見つけ出さねーと。