独り占めしても、いいですか?

日和…!



そう思ったのもつかの間。



観客から見えない位置に来た瞬間、フラッと体勢を崩して日和が倒れこんできた。



「大丈夫か⁉︎」



間一髪のところで抱き止めて顔色を伺う。



「…あれ……り、ん?」



ここはステージと違って照明が無く暗いから、はっきりとは見えねえが、尋常じゃないくらい体調が悪そうなのはわかる。



いつもならどんなに辛くても笑おうとする日和が、口角をピクリとも上げない。



手足はだらんとして、俺に全体重を預けている状態だ。



「何やってんだよ…」



俺は日和を、いわゆるお姫様抱っこで抱えて、ベッドのある休憩所まで運ぶことにした。



出番までそんなに時間がある訳じゃないけど仕方ねえ。