「お前ら、なんで来た」



透が少しムスッとして言う。



「そりゃあひよちゃんの方が大事に決まってるじゃん!

っていうか、ファンの子達も『行っていいよ』って言ってくれたし!

ね?凛ちゃん!」



優ちゃんが、まだ後ろに見えるファンの子達に大きく手を振りながら言った。



優ちゃんのモットーは『ファンサービスは最後まで、贅沢に』なの。



「ああ。

それに透1人じゃ日和を守りきれねーかもしれねーしな!」



凛が透の肩に腕を回して、いたずらっぽく笑った。



透は迷惑そうな顔をしてるけど、実際まんざらでもないって感じ。



「……そのくらいできる」



「ホントかー?」



そこから2人の軽い言い合いが始まった。



言い合いなんて、アイドルの時はしない。



一心同体とも言えるくらい仲のいいコンビで売ってるから。



だから普段喧嘩してる様子には、ちょっと特別感がある。



でもね、仲のいいコンビっていうのは、あながち間違ってはないんだよ?



喧嘩ばかりだけど、きっと、この中の誰よりも2人は仲がいい。



と、思う。



言い合いを見て、いいな、楽しそう…って思っちゃうのは、変なのかな?



でも、私は言い争いとかしたことないから…



だってみんな、私には優し過ぎるんだもん。



それはそれで嬉しいんだけど…



やっぱり、凛と透みたいな関係にはちょっぴり憧れちゃうなぁ…



4人には反対されそうでまだ言ってないんだけど…



私も、凛と透くらい仲がいい友達、作りたいなぁ…



なんてね。