さまよう爪

それを見届ければ、何か込み上げるものを感じて、わたしはベッドにうつ伏せで倒れ込む。

ティッシュを掴んで引き抜く。

目元に当てるが何も出てきやしない。

折角のアイメイクがボロボロに落ちるけど、どうせすぐにお風呂入るからいいんだぞ。

ほら。と自分に言い聞かせるが、何も零れてこず。

胃がキリキリ。

少し気持ち悪い。

「……結婚式。行きたくないな」

零れたのは、そんな独り言だけ。