ショックだった。呆然としてしまった。
「もう一度。大事にするから」
頭の中で彼の言葉がつるつると滑っていく。
腹が立ってしまう。うるせえと反発したくなってしまう。
抱き締められ。やめて離して。と、わたしは必死で顔を背け、身をよじって逃れようとする。追いつめられた動物のような、哀れっぽい顔の直人。
いや、追い詰められているのはわたしだ。
追いつめられた動物同様、抵抗せずにいられなかった。
何とか気を反らせようと話を振る。
「……彼女、いつもお弁当持たせてくれるんでしょ。ちゃんと食べてる?」
駅で待ち合わせしていつも。
わたしの急な問いかけに直人は不思議そうな顔をしながらも素直に口を開く。
「俺の嫌いなものばかり入れてあるから食べてないよ」
後輩にあげて、俺はカップ麺。と言う直人は野菜を見ただけで毛嫌いする。
だから吹き出物なんてできるのだ。
愛流と直人のお弁当の中身は同じらしい。だから毎日見てきた。
『直人さんって野菜が苦手みたいで、でも体にいいからどうしても食べてほしくてお弁当には野菜をたくさん使ってるんです』
「もう一度。大事にするから」
頭の中で彼の言葉がつるつると滑っていく。
腹が立ってしまう。うるせえと反発したくなってしまう。
抱き締められ。やめて離して。と、わたしは必死で顔を背け、身をよじって逃れようとする。追いつめられた動物のような、哀れっぽい顔の直人。
いや、追い詰められているのはわたしだ。
追いつめられた動物同様、抵抗せずにいられなかった。
何とか気を反らせようと話を振る。
「……彼女、いつもお弁当持たせてくれるんでしょ。ちゃんと食べてる?」
駅で待ち合わせしていつも。
わたしの急な問いかけに直人は不思議そうな顔をしながらも素直に口を開く。
「俺の嫌いなものばかり入れてあるから食べてないよ」
後輩にあげて、俺はカップ麺。と言う直人は野菜を見ただけで毛嫌いする。
だから吹き出物なんてできるのだ。
愛流と直人のお弁当の中身は同じらしい。だから毎日見てきた。
『直人さんって野菜が苦手みたいで、でも体にいいからどうしても食べてほしくてお弁当には野菜をたくさん使ってるんです』

