「…な、何してんの…」



恥ずかしさのあまり、兄の優しさを突き返そうとしてしまう。

だけど兄はーーー



「お前も恋してたんだな」



どこか悲しげな表情を浮かべながら、ボソリと呟いた。





そっか…

私に彼氏がいた事、知らないんだ…





暫く時間が経つと、ちゃんと涙は収まった。


心にスッポリと空いた大きな穴は、やっぱり塞がらないけど。


兄は、私の涙が止まったのを確認してから、



「…世話のやける妹」



意地悪な笑みを見せてきた。