私と彼と兄と

その日の夜ーーー



いつもなら彼女と電話している兄の声が聞こえない。


その代わりにテレビゲームの音がずっと薄い壁を通して響いている。



時刻は午後10時過ぎ。


風呂上がりの私はドライヤーを済ませ、ベッドの上に座り、スマホをいじっていた。


…が、



「ねぇ、うるさい」



兄のゲームの音が大きすぎて耳障りだった。

私は隣の兄の部屋に行き、直接注意した。



兄は、何故かいつもよりご機嫌な表情で、



「あぁ、ごめん。…あ、お前もやるか?」



私にゲーム機を手渡してきた。





…彼女とイザコザがあったくせに、何でこんなに元気なの