私を囲んでいた彼らは直ぐにどこかへ行ってしまった
その直ぐ後に電車が来て、やっちゃんとふたりで乗り込んだ

「やっちゃんって安田って言うんだ…」

「ひでぇ~」

とやっちゃんは笑った

いつものやっちゃんだ

「姫が電車なんて珍しいじゃん」

「うん… 理事長がね」と姫花はやっちゃんにSuicaを見せた

「理事長も甘いなぁ… 姫花が電車に乗ったら、さっきみたいになることくらい分からないのかねぇ…」

やっちゃんと話していると、3駅はあっという間で、「帰りは車にしろよ~」と言われやっちゃんはそのまま電車に揺られていった

後から、咲に聞いたんだけど、やっちゃんってかなりの暴れん坊らしく、エリザベスなんて私立に入っているから、プリンスなんて呼ばれてるらしい

ソレを聞いて、私を囲んだ彼らがやっちゃんの一声で退散したんだって一人で納得した

短編集2 〈完〉

2008.9.25