「もう大体他の部活の3年生は引退しだしている頃だろう。伝統部は皆の選考している部門が違うから、引退の時期がバラバラなんだ。…楠見先輩はその時期が早かったんだな」


「…そういうことだったんですか」



仲良くなってすぐ、部長が復活してすぐ。

もう2人の先輩たちと一緒にいれる時間は短いのだと、澪和は改めて実感した時に鳥肌が立った。


その様子を見て御影は何を勘違いしたのか、自分が持ってきたタオルを澪和の腕に被せてきた。



「え…?」



思わず声が漏れる。



「寒いんだろう?冷房で冷えたのか」


「え、えっと…」


「遠慮しなくてもいい。…そのタオル、お前にやる」



御影は自分が勘違いしている事に気付かないまま、少し顔を赤らめ澪和に言った。