「御影先輩っ、待ってくださいっ」



澪和が御影の後を追って辿り着いたのは校舎の片隅にある、小さな花壇の目の前だった。
そこで御影は目を細めながら小さな花をそっと触っている。



「…っ」



彼は澪和の存在に気付くと、驚いたような表情をし、



「海空!なんだ、追ってきたのか!?」



問い掛けた。

澪和はコクりと頷き、



「はい…。すみません、こんなことしちゃダメだっては分かってたのですが…」



俯く。

対して御影は静かに笑みを溢し、



「なにも叱ろうとなどは思っていない。心配してくれたんだな?ありがとうな」



澪和に向かって礼を述べてきた。



「おっ、お礼の言葉なんてっ、そんなっ…」



澪和は両手を振り、御影に申し訳ないと心で謝った。