部活が終わり、帰路に帰る楠見と御影。



「………先輩」



沈黙を破るかのように御影が話し掛ける。



「…もしかして、あいつのこと好きになったんですか?」



只の質問。

だが御影の目はただならぬ鋭さを帯びている。



「…あいつって?」



楠見は面倒くさそうに返事を返す。

御影は小さくため息を付いた後、



「…海空ですよ」



零和の名を口にする。

途端、御影と並んで歩いていた楠見の足が止まる。



「……はっ」



少し俯き、息を溢す楠見。