授業終了のチャイムが鳴った。

これから先は、部活動の時間だ。

零和は少し早歩きをして伝統部の部室へと向かった。



ドアを開けると――



「…あ、零和ちゃん。早かったね♪」



首だけを此方へ向けた部長―佐々木教芳が声を掛けてきた。

室内には佐々木の他に、御影や城津の姿も見える。



「…ほら、そんなところに立ってないで、もっとこっちにおいでよ?」



佐々木は笑顔で零和の腕を引き寄せた。



「……でも」



一方の零和は罪悪感に訪われ、中々笑顔を返すことが出来ない。

そんな零和を見て、御影誠が口を開いた。



「…海空。お前は何か勘違いをしてないか?」


「……え?」



突然声を掛けられたので、零和は少し反応が遅れる。