「…えーっと、ここはどこだ?」


「確かこの先の道を真っ直ぐ行けば、桜難中学に着くと思います」


「…お、おう。……で、新厘市はどっち方面なんだ?」



澪和の答えに困惑の表情を浮かべる西条。



「新厘市ですか…。たしか桜難駅から乗り換え有りで40分かかるはずですが……」


「ちょぉぉっと待ったぁぁぁぁッ!!!!」



澪和の発言に割り込むように西条の勢いの良い声が入ってくる。



「…な、なんでしょうか?」



衝撃に身を反らす澪和。

西条は冷や汗を垂らし、



「……俺、もう帰るわ」



自分(西条)と澪和をまだ空気が冷えていて、冷たい雨から守ってくれていた傘の柄を澪和に返した。