御影の身体が徐々に宙に浮く。

元々御影の身長は182㎝、西条の身長は176㎝と身長の差があったためか、今では御影の頭は西条の頭の2.5個分も上にある。

喉元が苦しくなったのか、御影が咳をする。



「…おい、その辺で止めろよ。見苦しいんだよ」



後ろの方で碁石の詰まった箱を持ちながら楠見が西条に声をかける。

―が、西条は聞き耳も立てない。



「…更衣室って。更衣室って言ったよな?」



西条は御影を責めるかのように声を怒りに震わせながら訊ねる。

御影は冷静に、



「あぁ。海空のロッカーを紹介したんだ。更衣室に入るのは当たり前だろ?」



西条の目を見ながら答えた。

西条はパッと御影から目を反らし、



「………更衣室に連れ込んで何したんだよ。押し倒したのか?キスでもしたのか?…それとも無理やり……」


「あ~ソレ、僕も可笑しいと思ってたんだよね~」



突然割って入ってきた声に3人は声の主の方を見る。

声の主は佐々木教芳だった。

佐々木は、



「だいぶ時間掛かったし、いやらし~事とかしてたんじゃないのかな~って。…まぁ、女の子に慣れていない誠君にはムリだと思うけどさ」



チクリと棘のある言葉を御影に向ける。