「…そうだ、言い忘れていた。俺は琴専門だ。…海空の専門分野は何だ?」



ふと思い出した、と言ったように御影が澪和に訊ねてくる。

澪和は一瞬戸惑ったが、「えと…」と言いながら口を開く。



「私の専門分野は日本舞踊です」



顔を真っ赤に染め、もじもじとしながら答える澪和を見て御影は暫くそんな澪和を見つめていたが、



「良いんじゃないか。日本舞踊を専門にしている部員、調度居るし」



澪和を安心させるよう、優しい口調で呟いた。

澪和は「えっ!?」と言って、御影を見上げる。



「まだ来ていない。…その内来るだろ。部室で待ってるか?」



御影はスッと立ち上がり澪和の方を見る。

澪和は頷き、更衣室から出ていく御影の後を追った。