「安心しろ。怪しげな物は置いていない。…だがロッカーの中を開けるのはやめた方が良いな。特に部長のロッカーは」



更衣室内は安全である(佐々木のロッカー以外はだが)事を伝える。

澪和は少しずつ手をずらし、視野を広げていく。

完全に手を顔から離したあと――



「……広い」



広かった。

元々伝統部の部室が広いのに、部室の隣の部屋を更衣室に使っているのだから、更衣室なんていうレベルの広さではなかった。

澪和の感想に御影は静かに微笑み、



「お前のロッカーはもう決めてあるんだ」



奥にあるロッカーへと歩み寄った。

見ると知らない人の名前の隣だった。

澪和は暫くその名前を見つめていたが、やがて御影が口を開き、説明をする。