「ごめんね、澪和ちゃん。怖い思いをさせちゃったね…」


「い、いえ、気にしないでください」



佐々木は澪和の頭を撫でる。

城津は差し伸べかけた手を静かに下ろした。



「部長、やっぱりむりです」



ポツリと澪和はまた呟く。

佐々木の表情は曇った。



「永利くんに言われるから?周りの女子が怖いから?それとも僕のことが…」



佐々木の声がだんだんと震えを増した。

澪和はどう言えば佐々木が悲しまないか必死に考えた。

だが、答えは見つからなかった。



「わ、私、彼氏とかそういうのまだよくわかんなくて…。好きとかそういうのもまだ…」



澪和は震える拳をギュッと握った。