それは天性のものなのか、輝夜は優しい嘘をつくのが得意だった。
翌朝隣でまだ寝ている朔からそっと離れた輝夜は台所に立ち、冷たい茶と熱い茶を淹れた。
本来これは雪男が毎朝やっているのだが、最近ぐったりしていることが多く、それを輝夜が手伝うからといって代わっていた。
…そして人目がないことを確認すると、全ての薬を二人分の湯飲みに入れて百鬼夜行から戻って来て縁側でぼうっとしていた主さまに差し出した。
「父様お勤めご苦労様でした」
「ああ、ありがとう」
何の疑いもなく湯飲みを口に運んだ主さまに疑われないようにその場から離れて今度は冷たい茶を雪男に差し出すと、こちらもすぐ口に運んだ。
「朔はどうしている」
「珍しいことにまだ寝てるんです。だから起こさないようにしてきました」
「…熱でもあるのか?」
「いいえ、ちょっと夜更かししちゃって…ごめんなさい」
「いや、いい。好きなだけ寝かせてやれ」
眠たそうに口を押えて欠伸をした主さまは、急激な眠気に襲われてきて首を捻ったが――昨晩は捕り物があったため疲れていたせいだと思って腰を上げた。
「寝る。何かあったら起こすんだぞ」
「はい。おやすみなさい」
主さまが部屋に消えていくと、今度は雪男を注視した。
最初は居間の机に向かって文を読んでいたが…徐々にうとうとしてきて輝夜と目が合う。
「お前……」
「なんですか?」
「なんか…した…だろ…」
「…おやすみなさい」
倒れ込むように横になった雪男に薄い掛布団をかけてやった輝夜は、凛とした目で立ち上がった。
これで邪魔者は居ない。
きっと後でしこたま怒られるだろうが、そんなことは気にしない。
「…行こう」
誰かに助けを求められている声を、無下にはしない。
翌朝隣でまだ寝ている朔からそっと離れた輝夜は台所に立ち、冷たい茶と熱い茶を淹れた。
本来これは雪男が毎朝やっているのだが、最近ぐったりしていることが多く、それを輝夜が手伝うからといって代わっていた。
…そして人目がないことを確認すると、全ての薬を二人分の湯飲みに入れて百鬼夜行から戻って来て縁側でぼうっとしていた主さまに差し出した。
「父様お勤めご苦労様でした」
「ああ、ありがとう」
何の疑いもなく湯飲みを口に運んだ主さまに疑われないようにその場から離れて今度は冷たい茶を雪男に差し出すと、こちらもすぐ口に運んだ。
「朔はどうしている」
「珍しいことにまだ寝てるんです。だから起こさないようにしてきました」
「…熱でもあるのか?」
「いいえ、ちょっと夜更かししちゃって…ごめんなさい」
「いや、いい。好きなだけ寝かせてやれ」
眠たそうに口を押えて欠伸をした主さまは、急激な眠気に襲われてきて首を捻ったが――昨晩は捕り物があったため疲れていたせいだと思って腰を上げた。
「寝る。何かあったら起こすんだぞ」
「はい。おやすみなさい」
主さまが部屋に消えていくと、今度は雪男を注視した。
最初は居間の机に向かって文を読んでいたが…徐々にうとうとしてきて輝夜と目が合う。
「お前……」
「なんですか?」
「なんか…した…だろ…」
「…おやすみなさい」
倒れ込むように横になった雪男に薄い掛布団をかけてやった輝夜は、凛とした目で立ち上がった。
これで邪魔者は居ない。
きっと後でしこたま怒られるだろうが、そんなことは気にしない。
「…行こう」
誰かに助けを求められている声を、無下にはしない。

