子供たちが多いため、ひとりひとりにじっくり時間をかけてやれることは少ない。
だが子供たちは子供たちで息吹が一生懸命慈しんで愛してくれていることを全身で感じているため不満を感じたことはなく、自分たちに妹や弟ができると積極的に世話をすることが多い。
そして一役買っているのが雪男で、何せ息吹が赤子の頃からずっと教育係を任されているため、自分に子がなくとも育児は完璧。
「こらお前たち!寝る前に水を飲め。厠にも行け。枕投げは禁止。はしゃいで息吹に迷惑かけんな」
「そんなの分かってる。お前こそ、こっそり母様の隣に寝たりするなよ」
「ば、ばーか!俺はこの屋敷の守りを任されてるんだからそんなことするか!」
「嘘ですね、隙あらば母様をどうにかしようと思ってるくせに」
「うるせえな、黙って寝ろ!」
朔と輝夜から矢継ぎ早に責め立てられた雪男は、くすくす笑っている息吹の肩を押して床に寝かせた。
息吹が真ん中で、左右に朔と輝夜。
三人仲良く手を繋いで川の字で寝ている様は微笑ましく、雪男は手を振って部屋を出る。
「俺は如月たちの方を見てくるからごゆっくり」
「うん、雪ちゃんありがとう。おやすみなさい」
「あのさ、これ以上子が増えると俺の手も回んなくなるから主さまに重々言っといて」
「ふふふ、はい」
ぼやきつつ子供たちの世話が好きなことは見ていて分かる。
息吹は左右からにこにこしながら見つめてくる朔と輝夜を交互に見つつ笑いかけた。
「ねえ、お祖母様には明日会うけど…お祖父様はいらっしゃらなかったの?」
「…」
輝夜が黙り込んだ。
これから起こることが見えている時もあるらしく、そういう時は決まって黙り込む輝夜の頬を優しく撫でた息吹は、心配ないよと囁いて小さな額にちゅっと唇を押し当てた。
「輝ちゃん大丈夫だよ、明日母様が自分で全部聞いてくるから」
「…はい。母様、お話して仲良くなれたら私と兄さんもお祖母様に会いに行ってもいいですか?」
「うん、いいよ、みんなで会いに行こ」
安心した朔と輝夜がすうっと眠ってしまうと、息吹は天井を見つめて密かに息をついた。
「…お母さん…」
何も覚えてないけれど、自分を生んでくれた人。
一体どんな方なのだろうか?
…捨てられた理由は分かっている。
自分がいけないのだ。
自分が――
だが子供たちは子供たちで息吹が一生懸命慈しんで愛してくれていることを全身で感じているため不満を感じたことはなく、自分たちに妹や弟ができると積極的に世話をすることが多い。
そして一役買っているのが雪男で、何せ息吹が赤子の頃からずっと教育係を任されているため、自分に子がなくとも育児は完璧。
「こらお前たち!寝る前に水を飲め。厠にも行け。枕投げは禁止。はしゃいで息吹に迷惑かけんな」
「そんなの分かってる。お前こそ、こっそり母様の隣に寝たりするなよ」
「ば、ばーか!俺はこの屋敷の守りを任されてるんだからそんなことするか!」
「嘘ですね、隙あらば母様をどうにかしようと思ってるくせに」
「うるせえな、黙って寝ろ!」
朔と輝夜から矢継ぎ早に責め立てられた雪男は、くすくす笑っている息吹の肩を押して床に寝かせた。
息吹が真ん中で、左右に朔と輝夜。
三人仲良く手を繋いで川の字で寝ている様は微笑ましく、雪男は手を振って部屋を出る。
「俺は如月たちの方を見てくるからごゆっくり」
「うん、雪ちゃんありがとう。おやすみなさい」
「あのさ、これ以上子が増えると俺の手も回んなくなるから主さまに重々言っといて」
「ふふふ、はい」
ぼやきつつ子供たちの世話が好きなことは見ていて分かる。
息吹は左右からにこにこしながら見つめてくる朔と輝夜を交互に見つつ笑いかけた。
「ねえ、お祖母様には明日会うけど…お祖父様はいらっしゃらなかったの?」
「…」
輝夜が黙り込んだ。
これから起こることが見えている時もあるらしく、そういう時は決まって黙り込む輝夜の頬を優しく撫でた息吹は、心配ないよと囁いて小さな額にちゅっと唇を押し当てた。
「輝ちゃん大丈夫だよ、明日母様が自分で全部聞いてくるから」
「…はい。母様、お話して仲良くなれたら私と兄さんもお祖母様に会いに行ってもいいですか?」
「うん、いいよ、みんなで会いに行こ」
安心した朔と輝夜がすうっと眠ってしまうと、息吹は天井を見つめて密かに息をついた。
「…お母さん…」
何も覚えてないけれど、自分を生んでくれた人。
一体どんな方なのだろうか?
…捨てられた理由は分かっている。
自分がいけないのだ。
自分が――

