部屋から出て来た息吹に朔と輝夜がまとわりつくと、息吹は笑顔を作って腰を屈めて顔を近付けた。
「朔ちゃん、輝ちゃん、ありがとね。私のために頑張ってくれたんだね」
「母様…今まで言えなくてごめんなさい」
「ううん、輝ちゃんが見つけてくれたんでしょ?お祖母様はどうだった?」
努めて明るくしようとしている息吹がやはりいつもとは違うように見えた朔は、息吹の手を主さまと同じようにそっと握ってただただ見つめた。
「朔ちゃん…ありがとうね。輝ちゃんと一緒に大冒険してきたんだね」
「いいえ…。母様、お祖母様に会いに行くんですよね?お祖母様…母様にとてもよく似ています。とてもお優しくて、可愛らしいです」
――ふいに息吹の目に涙が溜まり、やはりまだ動揺から脱しきれていない母の姿はふたりを戸惑わせて焦らせた。
ふたりはまだ幼く、明るく強い母の弱っている姿は特に輝夜の心を揺さぶって泣き出してしまうと、続いて出て来た主さまは息吹の肩に手を置いてもう片方の手で泣いている輝夜の頭を優しく撫でた。
「そう心配するな。息吹、明日お前の母に会いに行け。朔たちも連れて行っていい」
「ううん…私ひとりで行きます。またこうして泣きそうになって朔ちゃんたちを怖がらせちゃうかもしれないから…」
「怖くなんかないです。母様がおつらそうで…」
――輝夜の心は繊細で変化に敏感なため、少しの表情の違いも見抜いてはこうして心に寄り添ってくれた。
朔は長男として自分の弱さを見せようとせず、輝夜と自分のために強くあろうとする。
兄弟なのにふたりの違いは大きく、だが優しく親身になろうとしてくれるのは同じ。
「朔ちゃん輝ちゃん、今日は母様と一緒にお風呂に入ろうか。夜は一緒に寝ちゃうっ」
「はいっ。父様ごめんなさい。母様と一緒にお風呂に入ります」
何故か主さまに謝るふたりに息吹がぷっと吹き出す。
ふたりの子に救われた思いになった主さまは、朔と輝夜の頭をぐりぐり撫でた後、百鬼夜行に向かった。
「朔ちゃん、輝ちゃん、ありがとね。私のために頑張ってくれたんだね」
「母様…今まで言えなくてごめんなさい」
「ううん、輝ちゃんが見つけてくれたんでしょ?お祖母様はどうだった?」
努めて明るくしようとしている息吹がやはりいつもとは違うように見えた朔は、息吹の手を主さまと同じようにそっと握ってただただ見つめた。
「朔ちゃん…ありがとうね。輝ちゃんと一緒に大冒険してきたんだね」
「いいえ…。母様、お祖母様に会いに行くんですよね?お祖母様…母様にとてもよく似ています。とてもお優しくて、可愛らしいです」
――ふいに息吹の目に涙が溜まり、やはりまだ動揺から脱しきれていない母の姿はふたりを戸惑わせて焦らせた。
ふたりはまだ幼く、明るく強い母の弱っている姿は特に輝夜の心を揺さぶって泣き出してしまうと、続いて出て来た主さまは息吹の肩に手を置いてもう片方の手で泣いている輝夜の頭を優しく撫でた。
「そう心配するな。息吹、明日お前の母に会いに行け。朔たちも連れて行っていい」
「ううん…私ひとりで行きます。またこうして泣きそうになって朔ちゃんたちを怖がらせちゃうかもしれないから…」
「怖くなんかないです。母様がおつらそうで…」
――輝夜の心は繊細で変化に敏感なため、少しの表情の違いも見抜いてはこうして心に寄り添ってくれた。
朔は長男として自分の弱さを見せようとせず、輝夜と自分のために強くあろうとする。
兄弟なのにふたりの違いは大きく、だが優しく親身になろうとしてくれるのは同じ。
「朔ちゃん輝ちゃん、今日は母様と一緒にお風呂に入ろうか。夜は一緒に寝ちゃうっ」
「はいっ。父様ごめんなさい。母様と一緒にお風呂に入ります」
何故か主さまに謝るふたりに息吹がぷっと吹き出す。
ふたりの子に救われた思いになった主さまは、朔と輝夜の頭をぐりぐり撫でた後、百鬼夜行に向かった。

