ごめんね、マオちゃん




もう我慢の限界






「ねぇ、さっきから気持ち悪いよ。

ナルシストのヒロキくん。」






声が聞こえた方を振り返りつつ


思ったことを口にする




「ごめんね、盗み聞きして。

でもあまりにも勘違いが激しいみたいだから、

口出さずには入られなくて。


客観的に言われせもらうと、ヒロキくん

千葉雄大くんに1ミリも似てないよ?」




いきなりすぎたのか、3人ともポカンとして動かない



聞こえてるのかしら?かなり大事なこと言ってるよ?




「千葉くん、そんな眉毛ボサボサじゃないし

髪型もそんなにダサくない。


顔ももっとちっさいの。


目が似てるとかって言われて舞い上がってるけど

そんなちっさいパーツだけ見て似てるとかないから。

その部分だけ見たら誰が誰だかわかんないよ。」




「カンナちゃん、俺、元カノに言われたから。

千葉雄大に似てるって。」




ヒロキくんだけがやっと魂が戻ったらしく言い返してきた



「ヒロキくん、恋は盲目って言葉知ってる?

好きだったら誰でもかっこよく見えるもんだし、

そんな時の言葉を信じてあぐらかいててどーするの。


それに。


さっきから千葉くんのこと呼び捨てしてるけど、千葉くんの方が年上だよ?


その偉そうな態度、どーにかならないの?

ほんっと、人の神経逆撫でするの上手だね。」




ヒロキくんの間違いを淡々と訂正していく


「それにさっき、告白してくれた女の子にすごく失礼なこと言ってるけど


勘違いナルシストを選んでくれただけでもありがたいと思いなよ。」




私が言い切った時、今度はヒロキくんが我慢の限界になったのか


ガタッと音も立てて起立して



睨みながらこちらに向かってきた



あらやだ、暴力に訴えるの?



そう思った時、ガラッと教室のドアが開いた