次の日、私は昨日より気合いを入れて掃除をした。
これからはあの子がいつ来てもいいように、入念に。
あくまで神社の付喪神。
1人を贔屓してはいけない。
けれど、1人でも訪れてくれる人がいるのなら、その子の幸せを願いたい。
参道の草を毟り、鳥居を洗い、塗り直す。
鈴の音を確認して、賽銭箱の中まで掃除する。
どこを見られても恥ずかしくないように。
(もうすぐあの子が来る時間だ!)
白狸に化けて、鳥居の前で待つ。
今日はもう、隠れない。
昨日、数百年振りに誰かが触れてくれた。
久し振りに自分の存在を肌で感じた。
(もう一度、その手で私に触れて欲しい)
参道の階段を登る足音に私の心は浮き足立つ。
(来た!)
それも、昨日までとは違い複数の足音。
(来た!)
お友達を連れて来てくれたのだろうか?
それとも、家族で参拝に来てくれたのだろうか?
ワクワクする心を抑え、涙を堪える。
少しずつ大きくなるあの子達の陰に階段を降りて出迎えたくなる。
腕を引いて、
ー見て!頑張って掃除をしたんだよ、君が来てくれるから、頑張ったんだよ!
そう言って自慢したくなる。
ーもう、寂しい神社じゃ無いんだよ!だからね、忘れていかないで…
そうして彼女達を見る。
もう少しで此処にやって来る。
思わず尻尾が揺れる。
そして、気が付いた。
あの子は、笑っていなかった。
これからはあの子がいつ来てもいいように、入念に。
あくまで神社の付喪神。
1人を贔屓してはいけない。
けれど、1人でも訪れてくれる人がいるのなら、その子の幸せを願いたい。
参道の草を毟り、鳥居を洗い、塗り直す。
鈴の音を確認して、賽銭箱の中まで掃除する。
どこを見られても恥ずかしくないように。
(もうすぐあの子が来る時間だ!)
白狸に化けて、鳥居の前で待つ。
今日はもう、隠れない。
昨日、数百年振りに誰かが触れてくれた。
久し振りに自分の存在を肌で感じた。
(もう一度、その手で私に触れて欲しい)
参道の階段を登る足音に私の心は浮き足立つ。
(来た!)
それも、昨日までとは違い複数の足音。
(来た!)
お友達を連れて来てくれたのだろうか?
それとも、家族で参拝に来てくれたのだろうか?
ワクワクする心を抑え、涙を堪える。
少しずつ大きくなるあの子達の陰に階段を降りて出迎えたくなる。
腕を引いて、
ー見て!頑張って掃除をしたんだよ、君が来てくれるから、頑張ったんだよ!
そう言って自慢したくなる。
ーもう、寂しい神社じゃ無いんだよ!だからね、忘れていかないで…
そうして彼女達を見る。
もう少しで此処にやって来る。
思わず尻尾が揺れる。
そして、気が付いた。
あの子は、笑っていなかった。


