ーねぇ、君は名前ないの?
ー私は社護りと呼ばれて来たので。
ー名前無いなんて寂しいし不便じゃない?
ーでしたら、適当に付けて貰って構いませんよ。
ーそっか、じゃあ君は白いから…雪なんてどうかな?
ーもう!女の子にそんな単純な名前付けないで!
ーえぇ…じゃあお前はどうなんだよ!
ー雪って案は良いと思うのよねぇ。
ーじゃあ…立花ってどうかな?
ー結局、雪じゃないの。
ーええ〜。君はどう?
ー私ですか?私は考えてくれるだけで光栄に御座います!
ーそれじゃあ意見になってないよ〜
ーほら!頑張って考えて!
ーお前も考えろよ〜!
ー雪でも、ほら可愛いの無かったかしら?
ーう〜ん…あ!カザハナって無かったっけ?風に飛ばされて来た雪を花に例えたってやつ。
ー良いわね!この子お花大好きだし。
ーそのままじゃ名前らしく無いから、読み方変えてフウカでどうだろう。なあ、風花!
ーあ、有難うございます!一生大事にします!
ーあらあら、泣かないで。本当にあなたは泣き虫なんだから。
(…ああ、あの頃の夢だ…なんて優しい思い出だろう……
あんなに優しくて、お人好しな方々が、どうして……
私が守れていれば、もっと強ければ……
あの人達は、まだ、居てくれたかも知れない……
この名前をくれた、優しい優しい人達……)