食事を日和に持って行く。
「そういえば、言い忘れていましたが、参拝者が居ないと神は消えてしまうのです」
その発言に日和は食事を噛まずに飲み混んでしまう。
「そう言う事は最初に言ってよ！」
驚きと焦りで半分逆ギレする日和に、取り敢えず淡々と事実を説明する。
「個人差はありますが、日和様ですと1年が限界かと」
真っ青になって固まってしまう日和に説明を続ける。
「安心して下さい。日和様が消える前に契約を解けば日和様は助かります」
それを聞いて安心したのか、ホッと息をついて言う。
「まあ、順番にやって行くしか無いわよね」
そう言って味噌汁をすする。
穏やかな食事が進んで行く。
日和の食べ終わった御膳を下げ、神社の中を一通り案内、説明をする。
日和が寝静まったのを確認した後、拝殿の屋根に登って月を見上げる。
半月と満月の間の中途半端な月。
普段は寂しい月に見えたけれど、今はとても儚く美しく見える。
「明日こそ、日和様が笑っていられます様に」
私はそう祈って、月を見上げた。