言い終わってから、私は思い出した事を口にする。
「私は社護りです。なので此処の中なら日和様をお守りするのは容易です。でも、此処から出ると私はあなたを守れません。人神様は力が弱く、妖力が高い」
日和は真面目な顔で私を見る。
「妖の格好の餌ですので、此処から出るのはお控え頂ければと思います。では、お食事をご用意致しますね」
襖を閉めてしばらく歩き、角を曲がって座り込む。
真っ黒で長い真っ直ぐな髪。
切れ長なのに、優しく甘い瞳は二重で睫毛が長い。
高すぎない身長に、スタイルの良い体。
久しぶりに会った人は、こんなにも美しくて優しい。
(今度こそ、私が護りきらないと…次は失敗しない。誰一人として、代わりはいないのだから)
私はスッと立ち上がり、日和の元へ食事を運ぶ。
なんて幸せな事だろう。