それからしばらくして日和が口を開く。
「私がこの神社の神って…どう言う事?」
立ち上がろうとして、荷物を探す日和。
布団から出ようとした所を諌めて布団に戻した私は、そのまま説明する。
「人とは少し違う存在になった、と言うだけです。きっと、この神社に参拝に来た人の声が聞こえ
る様になっていることでしょう。その願いを、神通力で叶えて差し上げればいいのです」
私の説明を聞き、日和は「ん?」と首を傾げた。
「それだけ?」
「そうですね、他にも細かい事は色々ありますが、それはおいおい…。身の回りの事は私がさせて頂きますので、不便な事があれば仰ってください」
ぽかんとした表情を見せたが、日和は「そう…」とだけ呟いた。
数舜の後、日和は私に問いかける。
「あなたは、どう言う存在なの?」
「私は、この神社を護る存在です。この神社に害を為す者を追い払う者」
「と、言うと?」
「神社の神と目的は同じ様なものです。神に手出しする気はありませんし、出来ません。召使いとでも思っておいてください」
首を傾げつつも、「分かったわ」と言う日和。
そうして次の質問をぶつけた。
「……神通力って何が出来るの?」
日和は冷静で順応が早いようだ。
動揺を一切見せない。
「それは、使いようですかね…。しっかり扱えるようになれば術や契約なんかも出来て便利ですよ」
そういうと日和は目を輝かせる。
好奇心も強いようだ。
「最初は慣れる為にも神使の契約がいいでしょう」
「しんし…?」
「神の使い、要は専属の秘書です。妖なら誰でも契約出来ますが、最初は小妖がいいでしょう」
「へ〜…」
「神使は神格の象徴です。慣れたら強い妖と契約していきましょう。強ければ強いほど心強いですしね」
「いいわね!やってみましょう!」
意気込んでから、日和はまだ質問を続ける。
「神使と契約ってどうやるの?」
日和は人の世に戻る気が無いのだろうか?
私は気がつかないふりをして言う。
「人として生活するのも、学校へ行くのも自由ですよ」