優しい魔女は嘘をつく


そして今がこれだ。




急に体調が悪くなって、廊下で一人ぼっちになっている。さっきの映像みたいなものが、まだ頭を支配していた。



……なんだったんだろう、あれは。



目の前には、誰がいたんだろう。






あの映像の中にいたのは、″私″と、誰か。




なんとなく聞き覚えがある声なのに、どうして思い出せないんだろう。



というか、あれは私の記憶?それとも、別の何かなのだろうか。




……考えちゃダメだ。もっと頭が痛くなる。




首を振って俯いた時。遠くから、足音がした。





「初美?」




「あ……咲良」