「きょ、今日こそ!」

蛮は背中に背負っていた、大きな銀製の十字架を手にする。

これを時には打撃武器、時にはブーメランのように投擲して使用する。

「今日こそ君を退治して魔道協会に認めてもらう!同時に…」

勝手に赤面し始める蛮。

「君を使役して、僕のパートナーになってもらうよ、ルナ・ツェペリ!」

「……」

ルナは小さく溜息をつく。

「先週の夜もそう言って、私に血を吸われて半死半生の目に遭って逃げたの忘れたの?…吸血鬼化させないのはただのお情けに過ぎないわ…貴方なんていつだって息の根を止められる…」

普段の仲間達に見せる表情とはまるで違う、底冷えするような顔だ。

それでも。

「それでも僕は、君を諦めきれない!ルナ・ツェペリ!」

なかなか情熱的な台詞。

そりゃあそうだろう、後々彼はルナの婿養子となり、ダンドリッジ・タチバナを設ける事になるのだから。

「朝からお熱いこって」

ポケットに手を突っ込んで笑う龍一郎。

そんな彼の首に、ルナは手を回す。

そして。

「!?!?」

目も眩むような、強烈なチュー!

…実は限りなく唇に近い頬へのチューだが、死角になって唇にしているようにしか見えない。

「ごめんね蛮…私、龍一郎と付き合ってるから…」