果歩ちゃんと帰る放課後。
ふと忘れ物に気づいた。
「あ、教室にスマホ置いてきちゃった!!取りにいってくる。」
と言うと。
「いいよ、私も行く。1人で待ってても暇だし。」
優しい果歩ちゃんが着いてきてくれた。
教室に行き、自分の席の引き出しからスマホを取り出すと。
「そういえば、祐一って彼女いなかったっけ?」
開いている教室の後ろのドアから、隣のクラスの会話が聞こえてきた。
その男の子の声に。
「彼女……じゃないかも。」
祐一くんの声。
え……。
動けない私に。
「しっ。」果歩ちゃんがそう言ったあと、私の腕を引っ張って、歩いていく。