通夜と告別式が終わり、貴慶の棺を乗せたバスが会館を出ると、異様な光景となった。

背後から例のライダーたちが、ぞろぞろとついてきたのである。

あとから聞くと、

「あれがオーナーとの最後のツーリングです」

という。

美優は貴慶が実はこんなに仲間から慕われていたことを初めて知ったが、

「…貴慶って、幸せだったんだね」

「そういう美優だって、貴慶さんといられたんだから、きっと幸せだったんだよ」

近くに座っていた美姫は言った。

貴慶の棺と美優たちを乗せたバスは、右に左にとカーブを切りながら、斎場に向かう坂を、ゆるゆると登って行くのであった。





【完】