封筒には京都家庭裁判所と書いてある。

「半月ぐらい前に、千尋から電話来たのは覚えてるか?」

「うん。確か千尋ちゃんのオトンが亡くなったって、あの話?」

「せや、ほんでどうやら、西陣のオトンが遺言状書いとったらしくてやな」

その中身を近々、関係者が全員が出席する前で裁判官によって開封する…というのである。

「で、文書には配偶者がある場合、同席を願いますとあるから、うちは美優を連れて行こうと思うんやけど」

「あたしが…配偶者?」

美優は目を丸くした。