その夜。

ホテルの部屋のドアのノックの音のあと、

「美優、いいかな」

「うん」

「美優に訊きたいことがあるのやけど…」

「なーに?」

美優はナチュラルに小首をかしげた。

「もし、うちが京都行きたいって言ったら、美優はどないする?」

「…なんか、あったの?」

「うん、まあな」

そういうと。

貴慶は一通の封筒を見せた。