恵琉said

久しぶりの散歩。
最近外出れてなかったから気持ちいいなぁ。
やば、少し遠くに来すぎたかも。
近くに大きな川の高橋がある。

そこに制服姿のかわいい女の子。でも、この時間は学校のはず。

少し様子を見てると橋の柵に手をかけて身を乗り出した。

それを見た瞬間、俺は幼馴染の春のことを思い出す。

すぐに彼女の元に走って手を掴んだ。

彼女はビックリしてこっちを向いた。

「な、なに?離してよ。」

小さいけどハッキリした少しきつい言い方。分かってる。死にたいんだもん、止められれば怒るのも分かる。
でも、死んだら悲しむ人がいる。このあといいことがあるかもしれないのに。

「ダメだよ、死んじゃ。」

気づいたらそんなことを口にしていた。

「君には関係ないでしょ?なんで止めるの?」
「なにか悩んでるの?俺が話聞いてあげる。無関係な俺なら話せるんじゃない?迷惑とか考えないでいいから。」

そう言って彼女を自分の方に引く。細い小さな体。俺なんかより白い肌。

優しく抱きしめる。彼女は一瞬離れようとしたがしばらくして落ち着いたのか静かになった。気づくと肩が震えてる。

「我慢しないで泣いたら?」

そう言うと、彼女は小さく声を上げた。

「我慢してると心の容量を超えて壊れちゃうよ。」
「ありがとう」

彼女は小さくそう言って俺の腕の中で泣いた。

何かしらこの子は抱えている。守れるのなら守りたいな。