私はそんなに可哀想ですか?

出口のドアを開けるのと同時に夜風と声が吹き付けて来た。

「だから同窓会って言ってるじゃない!どうして信じてくれないの?」

浅田千絵だった。

浅田は俺に気付くと慌てて電話を切りバックの中へ押し込んだ。

「もう帰るの?」

平静を装う浅田を見て、俺も何も聞こえなかったフリをした。

「ああ、久々に大勢で呑んだから少し疲れたし」

「そう・・・」

下心が全くなかったと言えば嘘だが、きっと酔っていた所為だと思う。

「でも、大勢じゃなければ2次会も悪くないな。浅田、付き合ってくれるか?」