私はそんなに可哀想ですか?

「ああ、浅田さんだったんだ。ごめん、全然気付かなくて」

「ううん、私も自信なかったし、20年以上も前の記憶だもの」

彼女はそう言って笑った。

「入ろっか」

最悪、目的を見失うとゆう事態は避けられたので俺は彼女に同意してから、居酒屋のドアを開け中へと入った。

「いらっしゃいませー!」

元気の有り余る声で大学生風の店員が応対に出てくる。彼に予約の名前を伝えると直ぐに部屋は案内された。

ほんの僅かだったけれど、部屋の引き戸を開けるのを躊躇ったが、直ぐに襖を横に滑らせる。

一斉に部屋の中の姿勢が俺たちに注がれる。

「お、我らがアイドルの浅田の御登場か」

誰かが言った。

「しかもお目当の御手洗を連れてとは、やるねー」