「さばですね」
おばあ様と修一郎さんが、言い争った末、
連れてこられたのは台所だった。
さすがにキッチンは最新式で、
かまどなんてなくてよかったと胸を撫でおろす。
そこで用意されていたのは、さばの切り身が3切れ。
「妻になるなら料理ぐらいできないと」
「だからって、今日、急に言う事ないだろう」
周防家には、意外な事にお手伝いさんはいず、
時々庭師や掃除の専門家が来るぐらいで、
全ての家事をおばあ様がしているとの事だった。
これは、おばあ様が他人の手を借りる事を、あまり良しとせず、
自分が家を守るという、強い気持ち故だった。
「醤油と味噌、どっちがいいですか?」
キッチンをきょろきょろしながら答える、
言い争っていた2人が、ぴたりと口をつぐんだ、
「醤油かね」
おばあ様が答える。
「分かりました」
「舞、無理しなくても」
どこかおどおどして、修一郎さんが答える。
「キッチンは女の城です、居間ででも待ってて下さい」
そう言うと、はい、とおとなしく修一郎さんは去ったのだった。
おばあ様と修一郎さんが、言い争った末、
連れてこられたのは台所だった。
さすがにキッチンは最新式で、
かまどなんてなくてよかったと胸を撫でおろす。
そこで用意されていたのは、さばの切り身が3切れ。
「妻になるなら料理ぐらいできないと」
「だからって、今日、急に言う事ないだろう」
周防家には、意外な事にお手伝いさんはいず、
時々庭師や掃除の専門家が来るぐらいで、
全ての家事をおばあ様がしているとの事だった。
これは、おばあ様が他人の手を借りる事を、あまり良しとせず、
自分が家を守るという、強い気持ち故だった。
「醤油と味噌、どっちがいいですか?」
キッチンをきょろきょろしながら答える、
言い争っていた2人が、ぴたりと口をつぐんだ、
「醤油かね」
おばあ様が答える。
「分かりました」
「舞、無理しなくても」
どこかおどおどして、修一郎さんが答える。
「キッチンは女の城です、居間ででも待ってて下さい」
そう言うと、はい、とおとなしく修一郎さんは去ったのだった。