助けるのに気を取られていて、朱莉が顔を近づけていることに気づかなかった。

「馬鹿。顔に傷が!」

 急いで抱きしめると、ふふふっと笑う。

「健吾さんが変態さんみたいですよ。
 だって裸だから………。」

 そこで朱莉は気を失ってしまった。


「すみません。
 どうしても健吾さんの顔が見たくて……。」

「ハリーじゃダメだったのかよ。」

 ハリネズミから人に戻されたせいで、朱莉が言った通り、本当に健吾が変質者扱いされるところだった。

 人外には人外用の特殊警察がいて、狐達の仲間は人外用の刑務所に行くことになった。

「悪いと思うなら大人しく舐められとけ。」

 人外につけられた傷は人外が舐めれば傷痕を残さずに治すことができた。

「くすぐったいし!恥ずかしいです!」

 暴れる朱莉を押さえつけて傷を残らず舐めてやった。

 ここは人外用の病院。
 朱莉は特別に入院させてもらえていた。

「全て治ったら……。いいや。
 全部聞いたら記憶を消そうと思うんだ。」

「え。どうして……。」

 悲しそうな顔をする朱莉を見ていられなくて、視線をそらすと床を見つめながら口を開いた。

「狐はあいつらみたいな組織のほんの一端に過ぎないんだ。
 だからお前をまた危険な目に遭わせる。」

「全部……。
 まずは全部を離してくれますか?」