「痛ぇ!なんだこれは!痛っ。
 目が!目が!!!」

 朱莉の視界に入ったのは小さな針の塊。
 それが狐の顔に張り付いて針を突き刺している。

 転げ回る狐が朱莉から離れていく。

「朱莉!大丈夫か?
 今、縄を解くから………。」

 震える体をハリネズミに近づけると、針が当たるのも気にせずにそっと口に唇を触れさせた。