「もっと言い方があると思います。」

 会議が終わった後、朱莉は社長を見据えて凛とした態度で意見した。

「分かっているよ。
 でもね。
 どうしても健吾を見ているとね。」

 似た者親子なんだと思う。
 どちらも素直じゃなくて不器用で。
 だけど会社のみんなのことを大切に思う気持ちは親子で変わらなくて。

「朱莉様。坊っちゃんを頼めますか?」

 爺やさんが頭を下げている。
 社長も「あの分からず屋を頼むよ」と呟いた。