先生がいなくなると、教室の中が少し騒がしくなる。 「ねえ、南中から来た人って他にいる?」 幸華ちゃんが天野くん越しに小声で話しかけてきた。 「ううん、今年はあたしひとりみたい」 「そうだよね。意外と南中ってここまで遠いし」 「それに、ここの高校以外にも近くにいくつか高校あるし」 「そうなんだ」 幸華ちゃんは自分の机に向き合った。